最悪の事態を想定して備えることは必要だ。しかし最悪想定を公表し、言説化することは、その最悪の事態を引き寄せる危険も持つ。
ここには二つの理論がある。
スパイラル・モデル(安全保障のジレンマ)
抑止モデル
現代の準戦時では、相手が現状維持勢力か現状変更勢力かを簡単には判定できない。
だからこそ、内部の危機想定は厳密に行いながら、対外的な脅威言説は抑制する。そして対話と緊張緩和の回路を常に維持する。複眼的な姿勢が必要だ。

英国Skyの『The Wargame』を紹介した記事は、三つの層に分けて読む必要がある。
①脅威認識 ②脆弱性の指摘 ③政治的主張
サイバー攻撃、海底ケーブル妨害、偽情報などは現実の政策課題であり、脅威認識そのものは否定できない。
しかし「だから国防費GDP比5%へ」という話は別だ。
脅威認識と軍拡論の間には、多数の政策選択肢が存在する。事実・解釈・主張を分離しなければ、「危機がある→だから軍拡だ」という政治的結論を客観的事実だと誤認してしまう。
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