新年度早々の部活帰り。偶然下駄箱で出会った同級生の女子に「一緒に帰る?」と声をかけられた。僕らは去年から同じクラス。別れ際、彼女がニコリと笑って言った。「また一年、よろしくね」そういえば今日って彼女も部活なんだったっけ?気づいて、今年度もただの『友達』でいられる自信がなくなった。
『偶然? もしくは……』
※改稿再掲
勘違いじゃないって、思ってもいいかな…( ˙꒳˙ )

新年度早々の部活帰り。偶然下駄箱で出会った同級生の女子に「一緒に帰る?」と声をかけられた。僕らは去年から同じクラス。別れ際、彼女がニコリと笑って言った。「また一年、よろしくね」そういえば今日って彼女も部活なんだったっけ?気づいて、今年度もただの『友達』でいられる自信がなくなった。
『偶然? もしくは……』
※改稿再掲
勘違いじゃないって、思ってもいいかな…( ˙꒳˙ )
ここを越えれば「あちら」へ行ける。胸の高さほどの柵をただ越えるだけ。でも、タイミングが問題だ。丁度よく乗り越えないと、苦しい思いをしながら「あちら」へ行く事になる。邪魔をする人もいるし、隙を見て行かないとならない。トンネルの向こうから音が近づいてきた。俺はホームドアを乗り越えた。
#140字小説
命を賭けた遊びというものはスリリングで、ハマると中毒になってしまう。今日もまた、命を落としかけた患者が運び込まれる。こういうものは頭で理解していてもどうにもならないらしい。救命措置を施し、入院の手続きを行う。自由なんてない方がいいのかもしれない。自由より命の方が大事だとするなら。
#140字小説 貧しい生まれながら彼は必死に働いて成り上がり、その財で美術館を建てた。隅の壁にはいつも同じ絵を飾った。その絵こそが、この美術館を作った理由だった。彼は待ち続けた……誰もが素通りするこの無名の画家の絵の前で、足を止める者を。不遇のまま早世した兄の絵の価値を認める者を。
2026/10/05
#140字小説
宝物が手に入るという店に来た。一度に一人しか入店できず、けれど自分にとって最良の宝物を得て店を出ることができるのだという。おいてある品物は噂によるとものすごく雑多らしい。その店に入店することになった。不安と期待がないまぜだ。果たして私がその店で得たのは革表紙の住所録ノートだった。
2026/10/04
#140字小説
#140字小説 猫がうっかりそこに入ってしまったのは箱が好きだからで、箱があれば入るのは当然だった。長い時がたって箱が開かれたとき、彼は絶望的な顔をした人間どもに言ってやった。「中にいたのはムカつく奴ばかりだったが、最後に飛び出たあいつは、頼りになるいい奴だぜ」それは『希望』だった。
蚤の市に出店したたぬきは茶道具を売っていました。昔に茶道をきちんとやっていたのでまあまあ良い品ばかりを並べています。これは何ですか、と声をかけられ、笑顔で応じます。お客さんが示したのは茶釜。茶に使う湯を沸かすものです、と説明したのですがお客さんにはうまく伝わらなかったようでした。
2026/10/03
#140字小説
わたしがふわふわと飛んで行ってしまわないよう、この体にはたくさんの重しが結わえ付けられている。愛され必要とされている証だからありがたいことではあるのだが、それはそれとして、重い。これだけあるなら一つを外してみることにした。華奢な金のチェーンのヘッドにはダイヤモンド。体が、浮いた。
#140字小説 蜜蜂みたいなものです。私たちはあちこちを飛び回り、小さな光を集め、巣に持ち帰る。光というのは、例えば花を見て綺麗と呟いたあなたの言葉、赤ん坊の頬の柔らかさ、野良猫の欠伸などです。光が溜まったら、無念のうちに死んで悪霊と化していた私たちが空へのぼるエネルギーになります。
2026/10/02
#140字小説
いやなことがあった。こんなにくっきりはっきりしていると、睡眠にも悪影響だ。なので、記憶の天井から伸びる紐を引いて、カチリ。真っ暗になって、パッと見えなくなる。同じように、他のいやなことも、カチリ、カチリ。次々消していく。やっと全部見えなくなって、とろとろとほどけていった。
私は旧図書館の地下の誰も知らない部屋で超地球的存在を召喚する練習をしている。他にも研究を行っているものが違う部屋にいるが知らん。アブラカタブラ……エコエコアザラク……コンデンエイネンシザイホウ……。どれも違うようだ。地下でWi-Fiが効かないからネット検索も出来ず不便だ。#140字小説
私の体はいわば監獄、今までに九十九の悪魔を閉じ込めてきた。閉じ込められた悪魔は私が死ぬまで出ることは叶わない。おかげでそこそこに命を狙われる日々だ。私の中の悪魔たちが改心していたらどうするつもりなのだろう。強大な悪魔が現れたという。閉じ込めろということか死ねということか悩ましい。
2026/10/01
#140字小説