2026/10/10
#140字小説

2026/10/10
#140字小説
教科書を手に第一化学室を出ると
初移動教室らしい一年生が集まってきていた。
二年前の春、自分も同じ様に間違えたことがあったっけ。
なんて思い出していると
「すみません!」
角から飛び出してきた子と危うくぶつかりそうになってしまった。
もしかして、君も?
「おっ、と……こちらこそ。気をつけてね」
『まだ知らない後輩』
※改稿再掲
おっ、と……これは?( ˙꒳˙ )
昨日のこちらの別視点です。
bsky.app/profile/h-ay...
#140字小説 奉公先は大きなお屋敷で下男下女が大勢いた。座敷牢があって、中のお嬢様のお世話が私の仕事だった。やがてお嬢様の従姉妹という少女も増えて、お世話相手が二人になった。お嬢様たちは夜中でもよく歌をうたっていた。花を摘んでくると喜んだ。二人の葬儀は身内だけで、同日に行われた。
キスがしたい、と思い、伺い書を作成する。先方に提出すると、見積書が届く。見積単価は300LOVE、10回するとして3,000LOVEか。うん、問題ない。即納も問題ないらしい。では、と先方に赴く。ソファで隣に座るとあなたはニコニコと微笑んでいる。抱き着いてキスをする。こちらも笑う。
「ニーハオ!」声がかかる。私は振り向いたけれど誰もいなかった。風だけだ。また声がかかる。「你打算去哪裡?」日本語では無いようだ。私は迷子だ。どこに行ったら良いんだろう?でも誰も答えてくれない。昔の歌のように答えは風の中にあるんだろうか?#140字小説
#140字小説 あの足跡のことを一生忘れないと思う。途中まで靴跡だったのが裸足の足跡になり、靴が逆さまに転がっていて、更に進むと服が放り捨てられており、さっきまで人の足跡だったのが少しずつ形を変えて四つ足の獣のものとなって、そしてまっすぐ森へ駆けていった。彼は二度と戻らないのだ。
2026/10/09
#140字小説
第一化学室を目指して辿り着いた先は第二化学室だった。こんな事なら『トイレ行くから先行ってて』とか言うんじゃなかった。数分前の自分に悪態をつき、まだ慣れない校舎の中を小走りで進む。と、廊下の角で衝突事故を起こしかけてしまった。「すみません!」「おっ、と……こちらこそ。気をつけてね」
『まだ知らない先輩』
※改稿再掲
どっ…どきどき…( ˙꒳˙ )
中学時代、死について考える時期
小学生の頃からのファミコンやセガの色んなゲームのパスワードを書き留めた『ふっかつの呪文ノート』を、いつも鞄に入れてる奴がいて
「もし今、俺が死んだら…オマエにこれをやる」と、伝承の巻物のように取り出しながら言われたが
僕が回収しないと
親族を不安にさせるだけの意味不明な文言の並んだメモ帳
こういうのが『ノストラダムスの大預言』とかになったりするんだろうな、と思っていた
#140字小説
煮沸消毒したガラス瓶に氷砂糖を入れピアノの音で満たす。封をして数ヶ月待てばシロップの完成だ。幼いころに買い与えられたアップライト。高校受験を機に習うのをやめた。毎年来てくれる調律師さんが、もう弾かれてないんですね、と寂しそうに笑ってから数十年。家じまい。ピアノは新たな家庭に行く。
2026/10/08
#140字小説
「っぶな!」並んで下る部活後の階段。よそ見して踏み外した私を彼が支えてくれた。「あ、りがと」「こっから恋が始まったり?なんてなー。落ちるなよ?」心配だなぁとこぼす彼。もうとっくに落ちてる私は、どうしたらいい?再び横目に彼を見る。ここで私が背中を押しても、きっと君は落ちてくれない。
『君は落とせない』
※改稿再掲
ナイスキャッチ…( ˙꒳˙ )
早朝のコンビニにはカップルが溢れている。一緒に朝まで映画を観たカップルや、天界と地獄のわずかに暇な時間を共にしたカップル、これから一緒に夜を倒しに出かけるカップルに、早起きしておなかが空いたカップル。彼らを横目に私はコーラの缶を取り、セルフレジで会計を済ませる。朝が始まっていく。
#140字小説 寂れた商店街で福引きをしたら金賞を当ててしまい、その景品が商店街の隅の古い店舗兼住居で、「何の店でもいいんですよ」と言われて商売を始めることを確定されていて、これは何かの罠だったのであろうかと訝しみつつ、便利屋か探偵事務所かどちらにするか迷っているところである。
2026/10/07
#140字小説
新学期初日の緊張を洗い流した風呂上がり。濡れた髪をタオルで拭いながらスマホの画面を灯す。何度目か分からない操作を指先がしてやっと手に入れた君のアカウントを表示させる。「よっ!」とか急に送ったら、変だよな。送りたいけど、送れない。画面を消してベッドへ倒れ込んだ瞬間。スマホが震えた。
『一通目』
※改稿再掲
なんて返せば…( ˙꒳˙ )
さく、さく、と落ち葉の降り積もった道を歩く。さく、さく。赤と黄色、それから茶色、色とりどりになった道を歩く人は他にいない。秋を捕まえに行くのだ。今年の秋は例年より大物だから、得るものは大きいけれど危険も大きい。同行者は現れなかった。さく、さく。秋を捕まえて閉じ込めて、安寧を得る。
仕事帰りの電車の中、明日の休みに何をしようかと考えていた。天気が良かったら秋を感じるために京都に行こう。雨が降ったら侘び寂びを感じるために神戸港と異人館に行こう。そう考えていると気持ちは一足先に旅立っている。想像の中の京都と神戸。なかなか戻れなくて駅を乗り過ごした。#140字小説
2026/10/06
#140字小説