フィリピンで鉱山開発に立ち向かう人権擁護者が刑事訴追に晒される事態。訴状の多くは、その本質を覆いかぶせる「刑事告発(criminal libel)」という、今やほぼ絶滅危惧種になった罪名だ。ある鉱業会社が提訴するなど、言論を犯罪化し、異議を唱える者を黙らせる手口である。
皮肉なことに、民主主義を標榜する国が、市民の声を刑事罰で押さえ込もうとする。これは言論の自由を侵害するだけでなく、鉱山開発そのものの正当性を疑う議論を、もっぱら「反社会的」なものとして排除する。権力者が法を、市民を静める道具に変えてしまう構造そのものだ。
