#越境 #コーマック・マッカーシー/黒原敏行 #早川書房 少年ビリーは放牧地で捕えた狼を故郷のメキシコへ還そうと旅に出るが、狼は奪われ死を迎える。帰郷すると家は荒らされ両親は殺されていた。弟ボイドと奪われた馬を取り返すため国境を越えるが、弟は旅途上で助けた少女と姿を消し、メキシコで義賊めいた伝説を纏いながら若い命を落とす。ビリーは弟の遺体を故郷へ連れ帰る。 物語は若者の成長を拒み、世界の暴力の前で若さの情熱がいかに脆いかを描く。「越境」とは国境だけでなく、生死・倫理・少年期の境界へ踏み込む行為であり、越えるたびにビリーは何かを失っていく。旅の果てに残るのは、世界の冷酷さという事実だけである。
