**『飛ぶ前に、ひとつ』**
格納庫に朝の光が差し込むころ、麦は紙袋をティルソンへ差し出した。
「おにぎりとコーヒー。みなさんの分もありますから」
「ありがたい。今日は長くなりそうだ」
苦笑する彼に、麦はいつもの調子で笑う。
「だからですよ。飛ぶ人がお腹空かせてたら、帰ってくるまで心配でしょう?」
ローターが回り始める。
今日も誰かが出ていく。だから麦は、食べるものを持たせる。
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