柿のわくらばは、その美しさからひと味違う趣がある。黒く変色した円星落葉病の斑点と、葉の染まり具合から、占いにも使われる。柿の星を読むのだ。読み間違っても柿の実は落ちたりしない。がんばれ、見習い占星師。
#マイクロノベル

柿のわくらばは、その美しさからひと味違う趣がある。黒く変色した円星落葉病の斑点と、葉の染まり具合から、占いにも使われる。柿の星を読むのだ。読み間違っても柿の実は落ちたりしない。がんばれ、見習い占星師。
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大きな葛籠と小さな葛籠、どちらでも好きな方をお持ちくださいな。でもこのアオツヅラフジやオオツヅラフジの蔓から、この葛籠を編むには大変手間がかかるのです。舌切り雀は、その苦労をこんこんと説くのであった。
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病葉と書いて「わくらば」と読む。虫食いか、穿孔褐斑病か、葉に開いた穴の向こうに青空が見え、それを愛でるわくらば会へと人が集まってくる。ソメイヨシノの街道で、別にどれがいいとか競わず、ただ愛でるだけだ。
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キンモクセイの花もタイムリープに使えることは意外と知られていない。二度目の花が咲いた時、目を閉じてその香りを静かに嗅いで目を開ける。するとそこは最初の花の時間かも知れない。記憶も失われる副作用がある。
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「タマ、タマや」と、呼ぶ声がする。猫だろうか。辺りを見回しても猫はいないが、草むらに這いつくばって名前を呼ぶ人がいる。なんでも、この辺りに生えるネコハギを近所の人は「タマ」と名付けて愛でているらしい。
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ほんの一滴の雨粒が、向こうの世界の電線を歪める。大変だねと声をかけると、向こう側から姿を見せたわたしが、たいしたことはないよと歪んだ顔をして答えた。日が射して、向こうとの窓がどんどん小さくなっていく。
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宇宙センターの方からきた何とか党の人が、実は隕石の成る植物があるんだという。そんな馬鹿なというと、Googleで「隕石」と検索すると画面に降ってくるぐらいだから、安くしとくけどどうだと訳がわからない。
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あ、金木犀の香り、どこだろう。ふらふらと、金木犀の花を探して路地裏を行く。向こうからも、辺りを見回しながらやって来る人がいる。振り返れば、わたしの後ろにも。みな金木犀の花に吸い込まれ、ぽとりと落ちる。
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ポインセチアの花の中に、ぼくは住んでいるんだよ。と、こっそり教えてもらってから、もうそれは花かっぱにしか見えなくなってしまった。でも、それはないしょの約束なので、誰にも言わずポインセチアを見てほしい。
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世の中が騒がしいので、釣船草に乗って旅に出よう。くるっと巻いた距の奥には蜜もある。どこへ揺られて行こうかと思う間もなく、スズメガが蜜を盗みにやって来る。油断も隙もありゃしない。平穏はどこにあるだろう。
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この畑には、もうキノコしか生えんようになってしもうた。人参も大根も玉葱も、何を蒔いてもキノコが生えてくる。だがそのキノコを焼いて食べるうちに、人参や大根や玉葱の味と食感が感じられる。それは幻覚らしい。
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