『手乗りサイズで』
あれは
天使だったか
悪魔だったか
連れて来たんだ
手乗りサイズの
小さな思い出を
最初は
遠くて
色褪せていて
心は渇くばかりで
でも
大きくなって
色がついて
赤に染まった
視界の中
僕は笑っていた
ああ
手乗りサイズで
良かったのにね
擦り潰した
残った欠片
微笑む君

『手乗りサイズで』
あれは
天使だったか
悪魔だったか
連れて来たんだ
手乗りサイズの
小さな思い出を
最初は
遠くて
色褪せていて
心は渇くばかりで
でも
大きくなって
色がついて
赤に染まった
視界の中
僕は笑っていた
ああ
手乗りサイズで
良かったのにね
擦り潰した
残った欠片
微笑む君
『潮騒の子どもたち』
この音が
心地良いのは
かつて命抱く
揺籃に身を委ね
潮の満ち引きを
子守唄として
貴方に
育まれて来たから
いつか
灰となり
塵となり
雨となって降り注ぎ
貴方の元へと
還るのだろう
そして
唄に聴き入り
暁すら覚えぬ内に
万物は巡り
再び
貴方の元から
旅立つのだろう
『口づける石像』
石となった
君の心と
身体ごと
解けるとは
思わないけど
最後のお別れが
キスじゃ駄目かな
どうしても、さ
残しておきたいんだ
君を僕の唇に
愛おしかった
あの日々が
時と共に
風化し
君の魂が
崩れるより先に
...もし
呪いが消えるなら
その時も
キスをしよう
君を抱きしめて
『ロマンス気候』
二人はまるで
行き合いの空で
曖昧な表情に
右往左往し
夏の暑さも
秋の涼しさも
知らずにいた
明日の天気は
どうなるか
分からない
だけど
銀竹生い茂り
日陰の内
時雨心地に
沈んだとして
どうして
後悔するだろう
君に伝える事を
想いをのせた
言の葉が
木枯らしに
吹かれる前に
『せせらぎの魔法』
子守唄の様な
せせらぎが
無音より
なお静寂に
規則と
不規則の
あわいへと
優しく
柔らかく
僕を誘う
それはきっと
心の有り方と
同じだから
寄り添う
音律が
そっと 微睡を運んで
僕は 夢の世界へ
まるで魔法に
かかった様に
『瞳の女王』
君の瞳に
見つめられた時
世界が
止まった気がした
幾度となく
星々が巡る中
地上の歴史を
その澄んだ瞳で
見つめて来たのだろう
君を見上げると
詩を詠みたくなるのも
道理というもの
君の美しさは
夜を統べるのだから
きっと
生まれた時から
ずっと 君の瞳に
恋焦がれていた
バックヤードに
雨が降る
表に佇む
喧騒も
感情も
そっと
覆い隠す
かのように
バックヤードに
雨が降る
心に残る
苦しみも
悲しみも
優しく
洗い流して
行くように
いつからだろう
この時間を
愛おしいと
感じ始めたのは
バックヤードの
雨が降り止む
空になった
缶コーヒー
『夢を浮かべる器』
分不相応な夢だ、と
笑われた
だからどうした
笑いたいなら
笑えば良い
大きな夢でも
浮かべられる
器になれば良い
何度人生を
繰り返しても
どんな困難を
経験しても
この人生が
一番好きだ
そんな生き方が
したいから
僕は進む
一歩一歩
踏みしめて
『モダンなをかし』
林立する
高いビル
通り過ぎる
潮の香り
思い出の
朝焼け
何度も乗った
観覧車
何度も見た
赤いレンガ
桟橋から見る
太平洋
港の見える
丘のうえ
薫る薔薇
なびく旗
立ち並ぶ
歴史の数々
時代は変われど
心は変わらず
"をかし"を感じる
今までも
そしてきっと
これからも
『つばさ候補生』
最初はただ
柔らかな光と
温もりだけを
感じていた
親鳥に
抱かれ
育まれ
心地良い
揺籃に
守られて
開いた瞼に
広がる世界
果てしなく遠い
一面の青
羽撃く術さえも
知らなかった頃
焦がれ
憧れた
あの大空へ
弾かせた翼
成熟した姿
始まりの空は
もう目の前だ