#140字小説
「きのう助けて頂いた鶴です。恩返しに参りました」
「えっ何で血だらけなの」
「返り血です。先に猟師へのお礼を済ませてから来ました」
「復讐済」
※再掲です

#140字小説
「きのう助けて頂いた鶴です。恩返しに参りました」
「えっ何で血だらけなの」
「返り血です。先に猟師へのお礼を済ませてから来ました」
「復讐済」
※再掲です
部屋の掃除をしていたら「猿の手」が出て来た。随分と物騒な。色々と詰め込まれている押し入れだけれど、いつ手に入れたのだろうか? 願い事を叶えてくれるのだが、そのリスクが大きいからなあ。少し考えて使わずに桐箱に入れてそっと戻しておいた。いつか誰かが必要になるかもしれないし。#140字小説
走る、走る、走る。止まったら捕まってしまう。逃げるのだ、走る、走る、走る。時代がどんどん迫ってくる。走れば近付くのは老い。けれど捕まるのは嫌なのだ。命を削るように走る、走る、走る。周囲を見ることもなく、どんどん歳を重ねながら。まだ若いと言いながら、体はすでにだいぶボロボロなのに。
真っ暗な部屋。真っ暗なベッド。明らかに明るい小さな四角がパッと点いた。猫、お手軽レシピ、スキャンダル。真っ黒なキャンバスに、たちまち極彩色が重ねられて見えなくなる。見えなくしたいのだった。
2026/09/13
#140字小説
今日が土曜日だといつから勘違いしていた?記憶にない。何も疑問に思わず過ごし帰って夕食を摂った。一服したところで明日が月曜日だと言うことに気がついた。人間て曜日を間違えても大した問題もなく一日を過ごせるんだな。新たな知見を得た。問題は明日が仕事でテンションが下がった事。#140字小説
#140字小説
霊が視える人「半年前に近所の美容院のおばちゃんが急死したんだけど……」
視えない人「何かあったの?」
霊が視える人「近隣の霊がみんなちょっとお洒落になった……髪型が……」
※再掲です
『検閲済み』
#140字小説
あと数年もすれば、過去に荷物を発送できるサービスが開始されるというニュースを見た。
時代も進んだものだと感心していたら、10年後の自分から段ボール箱が届いた。
ニュースでは、未来を変えるようなものは過去に送ることが出来ないと言っていたので、特に警戒せずに開封する。
中身は空だった。
すっかり飲み過ぎてしまった。多めに水を飲んで布団に横たわると、気付けば朝だった。体が重く、よく見ると手に細かな鱗が見える。どうしたことだともぞもぞやると、体が大きなトカゲになってしまっているらしい。今日は休みからいいかと二度寝しようとして、お腹が空いていると気付く。何を食べれば?
#140字小説 突然の腹痛で駆け込んだ公園のトイレ。ギリギリ間に合ったものの何と紙がなかった。頭を抱えていたら、ドアの下の隙間からペーパーが差し込まれた。「昨年助けていただいた鶴です。やっとご恩返しができました」えっ。物凄く助かったが、ずっと俺を付け回して恩返しチャンスを伺ってたの?
2026/09/12
#140字小説
#140字小説 お宝を隠し持つという妖怪を倒したが、その宝とは『人間になれる秘薬』だった。人間の俺には必要ない。返してついでに怪我を手当してやると、妖怪はきょとんとして、それから薬を飲んだ。以後、俺の相棒面でどこにでもついてくる。あのとき初めて、人間になりたい気持ちがわかったそうな。
※再掲です
ゆらゆらと湯気の中、熱い泉の中には細長い竜がたくさん潜んでいて、見つけられるのを今か今かと待っています。泉は澄んだ茶色で、竜たちは乳白色。竜たちを隠すように半円形になった紅白の幕、誰かが細かくした緑色の草たち。「いいから早く食べなさい」と母に言われ、箸を取り、熱いうどんを啜った。
2026/09/11
#140字小説
なんでも食べる怪物がいます。怪物は人の姿をしており、人の世界に暮らしています。恐れることはありません。人を食べることはめったにありませんので。普通に暮らしているのでスーパーで食材を買うことがほとんどです。そのままかぶりつくのではなく、きちんと調理をします。人と変わらない生活です。
2026/09/10
#140字小説
#140字小説 いらっしゃいませ。除霊希望ですか? うーん。あなた、どこかで傘を盗んだでしょ。それに憑いてたんですよ。最近増えてるんです。どうしようもないモノをどうにかして他人に押し付けようとする奴ら。あなた、まんまと自分で選んで自分のものにしちゃったんですよ。剥がすのは難儀だなあ。
『利き手を決めた日』
#140字小説
僕は昔、左利きだった。
小学校に入学するまでは左手を使って、絵を書いたり、ご飯を食べたりしていた。
「左利きのままなら私とお揃いだったのにね〜」
「……そうだね」
そんな話を幼馴染に知られた。
隣を歩く幼馴染から目をそらす。
「でも、おかげで利き手同士をつないでも一緒に歩けるね〜」
#140字小説 そうです。最初は狐憑きの『ふり』だったんです。あなたが姉を諦めてくれたら、頃合いを見て治ったことにする予定だった。なのにあなたがしつこいから、狐憑きの芝居が長引いたから、それがあまりに楽しかったから。姉はもう戻りません。ほら、月の下、あんなに幸せそうな顔で踊っている。
※再掲です