「藪の中」25の断章#23
#Experimental #ExperimentalMusic #TheatreMusic #Soundscape
その跡は何處も靜かだつた。いや、まだ誰かの泣く聲がする。おれは繩を解きながら、ぢつと耳を澄ませて見た。が、その聲も氣がついて見れば、おれ自身の泣いてゐる聲だつたではないか?(三度、長き沈默)
(芥川龍之介「藪の中」より)
ー演劇の劇伴として作曲したものを当時の音のまま再構成ー

「藪の中」25の断章#23
#Experimental #ExperimentalMusic #TheatreMusic #Soundscape
その跡は何處も靜かだつた。いや、まだ誰かの泣く聲がする。おれは繩を解きながら、ぢつと耳を澄ませて見た。が、その聲も氣がついて見れば、おれ自身の泣いてゐる聲だつたではないか?(三度、長き沈默)
(芥川龍之介「藪の中」より)
ー演劇の劇伴として作曲したものを当時の音のまま再構成ー
「藪の中」25の断章#22
#Experimental #ExperimentalMusic #TheatreMusic #Soundscape
しかし妻は夢のやうに、盜人に手をとられながら、藪の外へ行かうとすると、忽顏色を失つたなり、杉の根のおれを指さした。「あの人を殺して下さい。わたしはあの人が生きてゐては、あなたといつしよにはゐられません。」――妻は氣が狂つたやうに、何度もかう叫び立てた。「あの人を殺して下さい。」(芥川龍之介「藪の中」より)
ー演劇の劇伴として作曲したものを当時の音のまま再構成ー
「藪の中」25の断章#21
#Experimental #ExperimentalMusic #TheatreMusic #Soundscape
妻はうつとりと顏を擡(もた)げた。おれはまだあの時ほど、美しい妻は見た事がない。しかしその美しい妻は、現在縛られたおれを前に、何と盜人に返事をしたか? おれは中有に迷つてゐても、妻の返事を思ひ出す毎に、嗔恚に燃えなかつたためしはない。
妻は確かにかう云つた、――「では何處でもつれて行つて下さい。」(長き沈默)
(芥川龍之介「藪の中」より)
「藪の中」25の断章#20
#Experimental #ExperimentalMusic #TheatreMusic #Soundscape
夫はもう縛られたまま、とうに息が絶えてゐました。その蒼ざめた顏の上には、竹に交じつた杉むらの空から、西日がひとすぢ落ちてゐるのです。わたしは泣き聲を呑みながら、死骸の繩を解き捨てました。さうして、――さうしてわたしがどうなつたか? それだけはもうわたしには、申し上げる力もありません。
(芥川龍之介「藪の中」より)
ー演劇の劇伴として作曲したものを当時の音のまま再構成ー
「藪の中」25の断章#19
#Experimental #ExperimentalMusic #TheatreMusic #Soundscape
わたしはそれを見ると、たちまちその言葉を覚りました。夫はわたしを蔑んだまま、「殺せ」とひとこと云つたのです。わたしはほとんど、夢うつつの内に、夫の縹(はなだ)の水干の胸へ、ずぶりと小刀(さすが)を刺し通しました。(芥川龍之介「藪の中」より)
ー演劇の劇伴として作曲したものを当時の音のまま再構成ー