彼らは、20倍の兵力をもつ東北軍を短期間に制圧できないのを自覚していた。
彼らは、自らの運動が政治干与にほかならないのを知っていた。
彼らは、満州事変における民族自決と自衛の論理がカモフラージュにすぎないとわかっていた。
本来は政治に干与できないはずの軍人は、何をなすべきかを国民に推断させるため、数字と歴史を援用して、極東の安全感の不安を煽り、中国の国際不法行為の不当を鳴らした。
── 加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)を読みながら。今わたしたちは、巨大な怪物のような世論誘導と、操られる人々の責任を、この目で見る。
